“うっとぉしいヤツ”というキーワードから、母親と息子という設定が。このありふれた設定をどーしたもんかと考えてて、“切なさ”をプラスしようということになり、何が一番切ないかぁ…で確か明水だったか?がこのアイディアを。家族で強盗するって設定は映画にもなりそうで、とても気に入ってる。
キャスティングでかなり迷った。全員でどの役もやって、最終的に明水・息子、母・長谷川、父・六角、でホンを書いて読んでもらって、またそこでキャストが変った。六角、長谷川にはかなり細かく、うるさく演出した。ツアー最後まで、本番前に時間があるとやってた。
ありふれたコントになりがちなので、「二時間前」とかスライドをいれて時間軸をずらす『ラン・ローラ・ラン演出』、これまた裏でいつも自我自賛してた。ラストシーンでよく拍手がきてたコント。何に拍手するの?とメンバーは首傾げてたけどね。
長谷川
「いろんな人が母役をやって、みんなのを参考にしました。自分のやりやすいオバちゃんになってしまうのを、マギーからギリギリまで演出され続けた。ツアーを通して完成した感じがしました。」
煙草関係ないところで今回もパロディものやりたいなぁってのはあって。普段のメンバー間の雑談のときに、坂田がやたらベソかいて笑わせるって定番のキャラがいて「そのキャラうっとぉしいから、なんかコント作れへん?」なんて言ってるときに、『泣き虫先生の7年間戦争』ってのと結びついた。
実はオレはあんまりスクールウォーズ知らないんでフリークの長谷川にかなり教えてもらいながら作った。『ヒーロー』が流れ出し、坂田がなんか言ったとたんにカットアウトするってのは、なんと石倉のアイディア。さすがリハーサルでピークを迎えてしまう男だ。最初、浅倉ミキの『ヒーロー』がなくて、葛城ユキのやたらしゃがれた『ヒーロー』でやってた。このコント、本番4日前ぐらいに前後のコントの衣装替えのテンポをあげる為にキャストが大幅に変わる。大木役のオレと外人役の石倉はオイシイ役から一転、エキストラみたいな役に。それはそれで面白かったけど。
ツアー中、やたらハマルお客さんがいて、大阪だったか、こっちが芝居になんないぐらいずっと笑ってる困ったちゃんがいたものだ。まぁ世代がハマルと気持ちもわかるけどね。
長谷川
「この番組、昔っから好きでDVDも全部購入しまして、ある意味、笑いよりどんだけ忠実にやれるかってことを考えてました。結局そんなのどーでもよくなっちゃってましたけど。」
坂 田
「本当は5回ぐらいボケるはずだったが3回にしぼられた。時間の問題だ。エンジョイラグビーだ!って言ってタックルバックと戯れたりするっていうボケ。荒けずりなところが気に入ってるコントです。」
長谷川のメモにあった「消せない過去があるんです」ってキーワードから、高倉健の『夜叉』とかその辺のイメージで、前々からやりたかった小料理屋の設定に。最初はただ石倉が消せない過去を話しまくるってだけのシンプルすぎるコントで、まーそれだけじゃってことでおまけ的に明水のハト時計をクッションに入れてて。面白くなるかどうかもわからないまま、オレもやりたかったって理由だけでカキワリを発注。リハーサル終盤、作ってきたコントをさらにフルイにかける段階でオレの中でボツ説が濃厚に。「カキワリせっかく作ったのに!」って舞台監督ニトーの視線を浴びて、「じゃー今から1時間考えて何も浮かばなかったらボツ!」って追いこんで必死に考えて、ハトが自分のことを話すってオチが生まれ、晴れて日の目を見ることに。
本番あけて誤算だったのが、ハト時計がやたらウケるってこと。「このままじゃこれ『ハト時計』ってコントだぞ!」ってことで東京終盤から野球拳をしたりと、ネタを変更。最初の一歩からするととんでもないところに着地したコントのひとつ。明水のあける扉の音の響き方ひとつで笑いが変る実はデリケートなコント。ピンスポットのサキヤマさんにも「お前はこのコント、4人目の役者だ!」とプレッシャーかけつつ毎回やってた。
明 水
「裏設定ですが、ハトの名前は“ハト万次郎”もしくは“ハト三郎”です。扉がひっかかった日もあれば、扉でアゴを切った日もある。思い出深いコント。」
石 倉
「最初の案では、僕がエレファントマンの話を泣きながらしたり、ミサイルに乗ったり、落ちてくる赤ちゃんを助けたり、ビーム出したりしてましたが、最終的にハト時計のコントになりそうで焦りました。」
これまたオレの頭の中のイメージをその場で説明しつつ、みんなで作っていったコント。坂田・明水夫婦が関西人だったりなど、ほとんどその場の思いつきでどんどん作っていった。石倉翁が出会う“豆腐屋のオッサン”も豆腐屋の笛の切ない音を吹きたいって思いつきから。
この笑えない緊迫した空気感はメンバーみんなお気に入り。坂田と長谷川のやりとりは、アドリブでやってるときから二人が吹きだしてしまうほど面白かった。「どこか痛い、けど面白い」っていう新しいラインが提示できたんじゃないでしょうか。台詞にもなってない細かい裏設定や背景を説明するのが楽しかった。
長谷川
「このコント、メチャメチャ好きでやってたんだけど、ほとんどウケませんでしたね。まぁガバガバ笑うタイプのものじゃないですけど。」
明 水
「大阪の言葉は難しい。この時飲んでたビールですが、最終日はお茶じゃなくて本物だった。美味しくいただきました。」
メンバー全員が煙草からのキーワードとして最初に思いつくのがやっぱり「イライラ」と「リラックス」。
なんか一本、超アタマ悪いコントがやりたいなぁってのと、音楽と融合したコントがやりたいなぁってのがオレの中にあって、リハーサルも終盤、「イライラ」「リラックス」「ドキドキ」のキーワードならなんかできそうだと急遽作ることに。リハーサルも終盤の追いこまれた状況だったんで、ヘンなテンションの中「じゃーハト出ちゃえ!」とか「もっと訳わからんこと言って!」と、スタッフにハテナ顔されながら一気に作った。ダンスの音は長谷川から何枚もCDを借りて夜中に選び、そのままフリツケも考えた。コントというよりも、全体がラップというか“曲”ということで、イキオイ重視の演出。照明もほとんどコンサートか!ってノリで。音響もガンガン煽りたいってことで、本番途中からマイクを持った演出に。ツアーではオレはベンチを降りて走りまわってほとんどライブ状態だった。
敬愛するウルフルズの「大阪ストラット」へのジョビジョバ流オマージュコント。
六 角
「台詞を決めずにすぐやりはじめたコントだったから、僕と坂田はすぐセリフが出ないでやたら追いつめられた。そのせっぱつまった中で出たセリフが『手にかいた汗をビヤッ!!』などのムチャクチャなものだった。」
最初っからオレの頭にあったのが、「今回のラストは老人が海を見ながらタバコを吸ってる」って絵。
タネアカしをしてしまえば、今回はその絵だけ決定したままどんどんコントを作って、最後の最後でその絵になる為につなぎ合わせるってやり方。
だからよく「どーやって全部が最後つながるように考えるの?」と言われても自分自身でもわからない。ずっと頭の片隅にラストシーンを思い描きつつ、寝ないでコントを考えてるうちに何かが覚醒して思いつくもんだから。今回もまぁ見事につながったもんだ。思いついた瞬間はひとりでガッツポーズしてたよ。
映画のインタビューで言ってるけど、映画を撮って「たまには豪速球投げるのもいいか。」という気持ちになって、このラストシーンはかなり“感動”にむかって直球な演出をした。音楽もオレとハンダース軍曹の選曲センスからするとトム・ウェイツってのもベタだけど、あえて。いい曲はいい!と。銀雪を照明フェイドアウト間際にふらすって演出も、オレが客席から見たいぐらいのお気に入り。各セクション、これでもかって直球で攻めた。
ラスト煙草を吸いながら佇んでるときって、照明が客席にあたるんで、お客さんの顔がよく見える。みんなが満足そうに見てくれてる顔を見るのが密かな楽しみでした。
明 水
「すげー煙草うまいのね、ここ。ラストと思うとまた格別。」
坂 田
「舞台上で煙草吸うっておいしいです。」
長谷川
「やっぱり横からみんなを見てるとタバコが吸いたくなるのね、ものすごく。毎ステージ“あぁうまそー”って。まぁ感情的には間違ってないものね。」
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今回もリハーサル室で消えてったネタは山の如。
でもまたそれがいつの日か、こんな風なネタ会議の中で復活して、みんなの前で披露する日がくるかも。コントを演じてみんなに笑ってもらうのと同じぐらい、コントを考えてる時間が好きな6人。そしてそんな俺たちをサポートしてくれる素敵なスタッフ達。みんなでまたすっげぇコントをぶちかますんで。
ヨロシク!!
ジョビジョバ
ジョビジョバツアースタッフ一同
Heavy Smoke Monkeys SPECIAL TEXT:MAGY & JOVI JOVA PHOTO: MIWA SHINOZAKI
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